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地震を境にいろんな「あたりまえ」が消失して、まるで世界がすり変わったような錯覚を感じる。そっくりだけど別世界。しばらく微妙にがっくりきて元の世界へ戻ることばかりを考えていたけれど、このところは、いつ復活できるかわからない古い「あたりまえ」に執着するより、いっそこのパラレルワールドに住みついたまま、新たな「あたりまえ」を積み上げていくほうが早いのではないかと思えてきた。前向き? たぶん違う。行き当たりばったり。あるいは短気。もしくは薄情。てやんでえ。
さて。ルビの「あたりまえ」も地震でそれなりに揺らいだようで、がっくりきたあまりなのかどうかは知らないが、カリカリが喉を通らなくなってしまった。地震の直後からだんだん食べる量が減ってきて、1週間後にはとうとう1粒も食べなくなってしまったのだ。で、病院行って、検査して、入院して、4日後に晴れて出所して。じゃなかった、退院して。そして今は……
こんなことになっている。チューブは、この小さな鼻のあなから胃までつながっている。念のためまだつけたままになっているけれど、状態はほぼ回復していて、ここ数日は流動食を与えずにカリカリだけで様子を見ているところだ。食べる量がまだ若干少なめかなという程度で、その他の様子はほぼ元に戻ったと思う。自慢の(?)鼻チューブともそろそろお別れかもしれない。
◇メモ(あの日あの時のこと)
3月11日14時46分、東北地方太平洋沖地震発生。私の地域の揺れは、震度5弱だった。その時、ルビはいつもの寝床で昼寝をしていた。私はそんなルビにちょっかいを出してやろうと、少しかがんで手を伸ばしかけたところだった。そこへ最初の揺れが。窓の外では、たくさんの鳥が不自然な姿勢で低空をバタついていた。
飛び起きたルビは一瞬「なんだ、おまえかよー」とこちらを見るも(濡れ衣です…)、すぐに目の色を変えて、別室のベッドの下へ駆け込んでいった。そこはルビにはちょうどよい避難場所なので、たまたまドアが開いていてよかったと思う。揺れが激しくなるにつれて、さっきまでルビが寝ていたテーブルの上は散乱し、古いディスプレイ(まだ捨ててなかったのかぃ。)が大きく移動しながら暴れ回っていた。
人は、テレビの前に避難した。なんか…ちょっと違うような気もするが、いちおう物が倒れてきたり落ちてこないであろう唯一の場所だったので。急いでテレビをつけたが、想像した以上の異常事態であることを知って落胆した。テレビからは、複数の緊急地震速報が連続して流れてきた。速報が入るたびに、新たな震源を示す赤い楕円が増えていく。揺れは止まらない。それどころか、次から次へと新たな地震が発生して、そのたびに振り出しに戻ってしまう感じだった。
速報の画面に次々と赤い楕円が追加されていく様子はあまりにもシュールで現実離れしていたが、実際に激しく揺れているのだから、どう抵抗してもそれが現実であることを受け入れるしかない状況だった。観念した、とでもいうのか。今思うと、個人的にはそこまで考える必要のない状況だったに違いない。なのに、ずいぶんせっかちにそんな心境にまで達したものだなと思う。その場ではまだ必要のない情報まで全部まとめて飛び込んできたことで、軽くパニックになっていたのかもしれない。
そんなこんなで、揺れている間じゅう、片方の目ではテレビを見て、もう片方の目では自分の周囲360度をくまなく監視していたような気がする。細かいことはもうあまり思い出せないけど。とにかく長い長い長い5分間だった。揺れがおさまってからすぐにルビの様子を見に行くと、ルビも同時にこちらへ向かっていたらしく、途中の廊下で鉢合わせした。「ニャー」なのだそうだ。「うんうん、そうだね。ニャーだったね。」(再会の第一声と、その返事。)
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